殺し屋狩り集団、夢現(ゆめあらわ)の元締め。
一茶、影丸、銑十郎を従者として従えている。
真っ白な白髪に青白い肌、光の無い死人の様な薄紫の瞳を持つ。頭巾風の上衣を纏い、胸下上半身から手首までの腕全てに包帯を巻いており、口元を硬い素材の物で口布の様に覆い隠している。その出立は非常に不気味。
組をまとめる立場でありながら、常に屋敷に引き篭っている謎深い男。
無気力で全体的に意欲が無く、興味がない事に関しても尽く行動力がない。
組の殆どの指揮を従者であり幹部である一茶に任せており、屋敷から出る事は勿論、自室から出る事すら殆どしておらず、その怠惰さを日頃一茶に酷く呆れられている。
その引き籠り具合は筋金入りで、彼の姿を知る者も夢現では幹部の三名のみと雅だけで、下っ端の部下は夜叉丸の姿を目視確認した事が無く名前のみでしか把握して居ない。若しくは本当にいるのかすら曖昧に思われている程である。
鬼灯義空、斑瑪官兵衛、光道とは古馴染みであるが、とある事をきっかけに現在は関係が一転し敵対する仲になっており、彼自身その3名を非常に煩わしく思っている。
誠吉を「桜」又は「桜の者」と呼び、どういう訳か彼の存在を認識して以来、執拗に彼を捕える事に拘っている。
事を進めるにあたって、物語では誠吉の身の回りにいる自身の邪魔となる人物の殺害を幹部に多く命令しており、如何あっても誠吉との接触を図り、彼の存在に執着をしている様だ。
一茶の事は彼の幼少期から知っている。
現在では一茶は自分に長く仕える一番身近な従者だが、彼にあまり好意的に思われていない事を夜叉丸自身気づいており、また夜叉丸も一茶のあからさまな態度を好ましく思っていない様子もあるが、一茶の腕はかなり信頼しており、それだけは素直に評価している。
予言について何か深く知っている様で、その情報を幹部にすら共有しようとはしないものの、何か個人的に狙う結果があるのか、自ら手を下す事をしない割には一茶にはかなり強い拘りを込めて命令を下している。
彼曰くは「外に出ない」ではなく「出られない」。「動かない」ではなく「動けない」のだそう。
夜叉丸は幕府とも裏で通じており、所謂闇交渉の結果、秘密裏で 金銭的な面でも行動的な面でも夢現は夜叉丸の名だけで幕府による様々な支援を受けている。その事もあり夢現は「幕府公認」とは言われずともその行動の数々は例え罪に当たる物であっても、暗黙の了解で裁かれずにいる。
その幕府と夜叉丸の繋がりは現状夢現を牛耳る河北一茶ですら把握し切れておらず、その謎も含め、一茶は強く夜叉丸を警戒している。
謎深く秘密の多い彼の考えを、最果てに狙う結果を、未だ誰も知らない。