かつて西郷(さいごう)の城に仕えていた幻の流派。
今は亡き田心宗角斎(たごころ そうかくさい)が頭目。
彼の右腕且つ流派を纏める中心的な忍柱として宗角斎直々の教えを受けた田心忍流師弟、五名に兄弟としての繋がりを与えている。
【田心とは】
田心は他の忍流派と比べても圧倒的な戦闘能力を持っており、その存在が初めて確認されたのは室町の時代。やがて戦国をも渡り生き抜いてきた歴史ある流派である。
彼等の働きは"幻"その物と呼ばれ、風の如く自然で影の様に密やかでありかつ精密である為に、その存在を陽として信じる者は後にも先にも存在しない、正に"影に生きる"幻の忍流派である。
忍術だけになく毒薬の製作、調合にも長けており、様々な致死に至る猛毒、解毒の難儀な 複雑調合の毒薬や、または逆に治癒性の高い薬草も作っている。
また、田心に所属する忍全てに、素顔を隠す為の般若の仮面を被る習わしが伝えられている事もあり、一人前と認められた忍には顔を半面隠す仮面が与えられる。
それは鬼の仮面を被る事で「人から鬼へと変化する」事を表し、古来より田心の言い伝えである「人である以上に忍であれ、忍である以上に鬼であれ」という言葉の意味を其の儘"鬼の仮面を被る"事で表している。
そんな田心流派一族は外界からの血を一切受け入れる事が無く、より強い血と特性を持つ子孫を作る為同胞同士で交じり合う因習がある様で、その為か田心の血を持つ人間達は直接的ではなくとも僅かに皆の血が繋がっており、その因習が仇ともなり他の里の忍と比べ短命であるとも話されている。
然しその因習によって田心の血を持つ人間は例外なく総じて体質的に毒物への耐性が高い。
長兄として本家に身を置く
影丸は、誰より田心流派の血が濃い男であり、その類稀なる才能と実力により、師が認めた田心頭目(すなわち忍頭)としての座を幼き頃より将来に約束されていた。
次兄である夜助は元々は外部の忍の為(※詳細は夜助のページにて記載)田心の血を引かない物の、その実力は純粋な田心の血を持つ忍達を凌駕し、その才能を師にも気に入られており田心上忍の座に就いている。
また、長姉の
飛鳥はくノ一部隊を一人でまとめる上忍であり、差別的扱いを受ける"女"でありながらも、兄である夜助に引けを取らぬ高い地位を持つ。
影丸、夜助、飛鳥と年の離れた末弟、末妹である
半蔵と
柚月は田心に属していた当時まだ幼く、
半蔵は影丸から、柚月は夜助から主な忍術を学んでいた。
因みに柚月も夜助同様田心の血を持たぬ外界の人間である。
元より城に仕え、決められた主君につき従う田心の忍だが、歴史に長く続く彼等の道は本編物語の五年前、宗角斎が突然死した後頭目として田心を纏めていた、長兄の影丸によって起こされた西郷の城への謀反にて未聞の変化を遂げている。
其れも恐ろしい事に、夜助、飛鳥、半蔵、柚月を除いた田心の忍全てが影丸の謀反に加担し、城を陥落した事態を起こしている。
誰よりも田心を導き、忠実に主君に仕えた流派の中心の影丸が部下の忍達を従え起こした裏切りと反逆、または忍の掟を破る行為は、夜助を始めとして飛鳥、半蔵、柚月に深い傷を残した。
かつての兄弟子、影丸へ制裁を下す事を誓い、謀反後に不明となった彼の姿を追うべくして、夜助達は
殺し屋鬼灯に身を投じたという。
謀反を起こし忍としての身を捨てた影丸の現在は、「元田心忍軍」であった田心流派の部下達と共に、殺し屋狩夢現に身を置いており、夢現の抱く多大な野望に強く貢献している。